落ち葉の上を乱舞する蝶

ちょうど今の時期に落ち葉の降り積もった上を歩くと、枯葉が舞い上がるように小さな蝶が飛んでいます。枯葉と同じような色で、時には何十という数の蝶が枯葉の上を乱舞します。2・3センチの小さな蝶ですから注意しないと見過ごしてしまいますが、その数の多さと季節が初冬という、蝶としては時期外れな組み合わせに少し驚きます。図鑑で当たってみたのですが、名前が今一つはっきりしません。シジミチョウの仲間ではないかと思うのですが、この時期には毎年のように飛び交っているのですから、特別珍しい蝶ではないと思うのです。かなり元気よく飛んでいるし、なかなか停まらないし、それに小さいから判別がしづらく、結局今の今まで分からずじまいです。
蝶と言えば花、花と言えば蝶というほどに、春や夏の生き物として思われている蝶ですが、案外冬にも見かける種もあって、成虫のまま年を越す蝶もいるようです。先ほどの蝶も、夏の間は見かけず今の時期になると元気よく飛び回ります。枯葉ばっかりで何を食べているのかと余計な心配をしたりしますが、あれだけの数が居るのですから食べ物はあるのでしょう。
シジミチョウの仲間は6月から8月あたりまでに活動するものが多いらしく、ミドリシジミとかムラサキシジミのように羽の表が鮮やかな色の種が有名です。ソクラテスが死んだときにおでこだか何処だかにとまった蝶がゼフィルスと言われ、ギリシャではシジミチョウがそのように呼ばれていたと何かの本で読んだ記憶があります。
名前のわからない小さな蝶は、地味で枯葉に同化したような色ですから、“ゼフィルス”と言われるような洒落た蝶ではないのですが、初冬の霜が降りるような時期に落ち葉の上を乱舞する姿は、何か場違いのような気もしますが一見に値する風景です。

こんな蝶なのですが、地味ですねえ