思いがけない見つけもの

私は「日本自然保護協会」の会員でもある同時に同協会の「自然観察指導員」でもあるのです。しかし年会費を払うだけの名目会員のようなもので、今ではこれといった活動をしている訳でもなく、観察会を開催するでもなく、まあ言ってみれば一人観察会を適時に行っているだけの者です。
その一人観察会の主なフィールドは近所の都立公園ですが、ここはなかなか自然環境が良く残っていて、その昔は通産省の車両試験コースが有ったところをですから、こんもりとした自然林と芝生とが上手く共存した公園となっています。そこの公園の自然林内には「キンラン」「ギンラン」という、近頃ではあまりお目にかかれない野生のランが自生していて、この時期には目を楽しませてくれます。もともとあった自然の植生と林をかなり残した形での公園なので、そんな環境が希少な野生ランにも生き残りの機会を与えたのでしょう。今では柵を設けて立ち入り禁止区域となった場所にひっそりと咲いています。
そしてこの春には「ギンリョウソウ(銀竜草)」というイチヤクソウの仲間の花?を見つけました。白い透明感のある、ちょうど竜が頭をもたげたような花で、私も図鑑などでは見ていましたが、直に御目文字するのは初めてです。山野草でどちらかというと山にあるものと思っていましたから、“街中の公園に…”とすこしびっくりしました。クヌギの根方に落ち葉からひょっこり頭をもたげた姿を見つけた時は、一人観察会ではもったいないと思いましたから、後で写真に収め公園の管理者に場所を連絡しておきました。
こういった思いがけない見つけものがあるから一人観察会も面白いもので、身近な自然に目を凝らすと、まだまだびっくりすることが多いようです。

ギンリョウソウ 魚のうろこ状のものを全身にまとってちょうど竜が首をももたげているような・・・