出来ない相談

無理なこと、実現不可能なことを「出来ない相談」と言います。原発事故で町全体が避難している大熊町の町長選で、元の町に帰ることを断念し新しい場所に移転してやり直そうと訴えた候補が落選し、元へ戻って町の復興をしようと呼び掛けた候補が1000票余りの差で当選したようです。今後福島第一原発周辺の町がどのようなことになるのか正直分かりませんが、これから数十年の間は居住に適した環境には戻らないのではと思われるのです。それを敢えて“戻って復興”という選択をする町民の総意は、私には出来ない相談をしているように見えるのです。
 慣れ親しんだ町に戻りたい、愛着のある土地に帰りたいといった気持ちもある程度分かります。また老人が多いことがそう言った選択をする原因ともなったのでしょう。しかし放射能汚染という現実は、感情論だけでは解決できない具体的な困難をもたらしている訳で、数十年あるいは百年単位でも解決しないだろうとさえ言われています。放射線が人体に与える被害は、大量に浴びない限りすぐに影響が表れることは無いようです。しかし数年、数十年かけて人体を蝕み、影響が表れる頃にはすでに手遅れということが多い厄介なものです。現在行われている除染がどの程度効果があるか疑問視せざるを得ないと言われていますが、仮に効果が期待できたとしても広大な地域を全て除染することは不可能でしょう。一度汚染された土地は半減期を待つ外に有効な手立ては無いと考えるのが妥当と思えるのです。
 今後他の周辺自治体も同じような選択を迫られることになるのでしょう。希望的な楽観論が必ずしも良い結果をもたらすとは限りません。もちろん放射線の影響も個人差、年齢差があり一概に断定することは出来ません。また現在言われている放射線量を浴びても必ず障害が出るとは限らないでしょう。しかし危険性を払拭出来ない以上は、より安全な対策をとることが大切であると思うのです。部外者が気楽なこと・・と言われればそれまでですが。

私も部外者よ。けれど太陽も放射線出しているのかしら?まぶしいから・・・。