12月


 太陽暦は一年を12に分けて、それをまた30と31に小分けにし、またまたそれを24に分け、さらに60と60に細分する。時を刻む仕組みはよく出来ていて、自然のサイクルと調和している。
現在では1秒を計るのにセシウム原子の振動数を利用して計るらしい。もちろん日常生活ではそんな時計を使っている訳ではないが、厳密な測定は原子の振動数が頼りとなる。
 ヒトも含め動物や植物は体内時計を持っていて、太陽の光、温度などがその基準となると言う。生物が生きていくうえで、太陽の光と温度は必要必須条件であることを思えば、当然過ぎるくらい当然なことだろう。だから飛行機で外国に行って時差ぼけになったりした時などは、太陽をうまく使うと体内時計がリセットして時差に対応出来るらしい。
 私たちが普段使っている時計は水晶の振動を基準にしているものが多い。その昔はゼンマイで、毎日に手で巻いていた。自動巻きという便利なものが出て、毎日巻くという作業からは解放されたが、手から外して置くと止まってしまう。今この手巻きとか自動巻きの時計はかなり高価で、銀座あたりの時計専門店に行くと百万円前後の時計がごろごろ並んでいる。時を刻むと言う機能からすれば水晶発振時計にかなわないこれら高級時計は、その本来の目的から外れた装飾性と成金趣味で一部のマニアやホスト、芸能人にもてはやされているらしく、文明が成熟すると退行現象が起こるというSFの一シーンを思い起こさせる。
 決まった時間に決まった所に行く必要のない生活をしていると、時間はそれほど気にならない。暗くなったら眠り明るくなったら起きるほどではないにしても、太陽の動きに合わせて生活している実感が生まれてくる。“心が解き放たれる”というのは少し大げさだが、何とも言えないゆったり感と充実感がある。12月と1月がじっくり味わえるとも言えるかも知れない。

もう少し寝かせてね。