モズが枯れ木で

 冬になるとこの歌が思い出されます。
“モズが枯れ木で鳴いている おいらは藁を叩いてる 綿引車はおばあさん 
コットン 水車も回ってる“
戦争中に作られた歌らしく、反戦歌として知られています。
“兄さは満州へ行っただよ 鉄砲が涙で光ってた モズよ寒いと鳴くがええ
兄さはもっと 寒いだろ“
しみじみとした静かな寒村が目に浮かぶ歌です。
よくあの戦争中にこんな歌が作られ、またひそかに歌われたと思います。ヒトはいろいろな状況のなかでも不屈に、しぶとく生き抜くことが出来るようですが、歌を作って歌うことでその場を凌ぐすべを持っています。ヒトが持っている数少ない利点と言えるでしょう。歌は旋律によって装飾されますが、それがなくても十分に楽しめるものです。和歌と言う形式の歌は、言葉の持っている魅力を最大限使うことで成り立っています。
 ヒトは自分の想いを歌という形にして表現しますが、鳥やほかの動物も同じように歌う(鳴く)ことで自己表現しているのでしょう。ヒトが歌う時にそれぞれ独自の工夫を凝らすように、鳥も固有のシラブル(音節)を持っていると言われ、個体によってその鳴き方は微妙に異なるそうです。クジラは海の中で歌うことが知られていますし、ネコやイヌも春先になるとよく歌います。あれもきっと固有の音節を持っているのでしょう。生き物は歌が好きなのです。
モズが何のために歌っているのかよく分かりませんが、あの甲高い声は冬の日によく似合います。

PS 昨日から背景を冬用にしました。それと、一昨日の文中に“番長皿屋敷”とあるのは“番町皿屋敷”が正解です。番長では学園バトルになってしまいます、失礼しました。

なあに ここでて歌えって いやよ。