よく似ているなあ

 トランプ大統領と安倍首相は非常に似ていると思っているのですが、いま起きている政権内の“内部告発”もどきの事態も、偶然とはいえよく似たケースと思います。前FBI長官の証言と前文科省事務次官の“告発”にアメリカと日本の政権は神経を高ぶらせています。ただ一つだけ違うのは、アメリカでは議会が元長官の証言を求めているのに対し、私たちの日本では与党が前事務次官の国会喚問を拒んでいることです。ともに大統領、首相という政権トップの関与が絡む“疑惑”が取りざたされているのですが、議会の対応の違いが大きく出ています。
 民主主義という制度は、国民の議会に対する信頼度、議会の国民に対する責任感の強さによって保たれます。政権が疑惑解明に消極的であったり妨害的あったりした場合は、議会が乗り出すことで民主主義は守られる・・・ことになっているはずなのですが、どうも私たちの国ではそのように機能していないらしいのです。とくに今回の前事務次官告発への官邸側の対応は、常軌を逸しているというか、あまりにえげつない個人攻撃に終始する有様で、何が何でも力で抑え込むという態度が露骨です。森友学園問題に続く加計学園騒動は、内閣にとって場合によっては命取りにもなりかねない、そんな道理がよく分かっているからこその対応、反応のようにも思えます。
 こうした場合に議会が独立した立場で疑問点の解明にあたることは、私たちの要望に応えることであり議会の責務でもあると思うのですが、国民のための議会とはなっていない、責任を果たしていないという現状は、“よく似ているなあ”ではなくて、“似て非なる”状況と言えるかもしれません。