帝国主義の覇権争い

NHKの「新・映像の世紀」が始まりました。前作「映像の世紀」からもうだいぶ経つと思いますが、新たに発見されたフィルムやデジタル処理をして鮮明となった映像を放送するというので期待していた番組でした。第1回の放送を見ましたが、第一次世界大戦の映像を中心にしたもので、いわゆる帝国主義の覇権をめぐってひき起された世界戦争が、その発端、目的などを映像によって要領よく説明していました。イギリス・フランスなどの兵士の間で梅毒が蔓延しその数が20万に達した、などという事実は今まであまり触れられていなかったもので、戦争という行為の下劣さを性風俗からも垣間見た思いがします。
食料不足や伝染病に苦しむ兵士、訓練不足の兵士など、第二次世界大戦の日本軍と同じような状況がすでに当時の“西部戦線”にはあったことがこの映像から分かります。米・英・仏などの連合国はそれらを学習して第二次大戦に突入し、日本はそれらに全く無関心であったようです。さらに日本の場合は“物量”というハンデを背負っていたのですから、いかに無謀・無策の戦争に突入していったのか、改めて思いました。
パレスチナ問題の発端もこの第一次大戦にあり、現在も続く中東の混乱はその多く原因が当時の帝国主義の覇権争いの結果であること、また当時はアメリカがまだ新興国であったことなどがこの番組を見ると分かります。
そのアメリカが南シナ海で行動を開始したというニュースが昨日入って来ました。中国の南沙諸島をめぐる一連の行動に対するデモンストレーションであるようですが、今や世界の超大国アメリカが“新興国”中国にたいして、ある種の脅しをかける行為ともとれる訳で、帝国主義の覇権争いはいまだ生き続けているのかと、ちょっと感慨深くニュースを聞きました。日本の自衛隊は早速臨戦準備に入ったのでしょうか。

覇権を主張