本の好み

本を選ぶときに、もちろん内容も大切ですが、装丁や題名によって左右されることもあります。小説などはかなりこの装丁と題名で選んでしまいます。ただ残念なことに、装丁の良い本は値段が高く、内容は今一つといったことが多いようにも思えます。
例によって昔話ですが、岩波書店版の「漱石全集」は装丁、内容とも素晴らしく上等だったのですが、値段も上等で手が出ませんでした。オレンジ色の布の装丁本は、今でも古本屋辺りでたまに見かけますが、相変わらず高そうです。白水社版のシェイクスピア全集も結構な装丁で、渋い、やはり布の装丁本は、これ見よがしに飾っておくにはちょうど良いものです。
外国の(と言っても実際に行ったことが無いけど)古書店などには、皮の装丁本がずらりと並んでいると言います。こういった皮装丁の本は、会社や事務所の応接室などの本棚にそれらしく並べられ、それによりその会社などの格が判断される基準ともなるようです。ペラペラの月刊誌や週刊誌が置いてあるようなところは、それなりのランク付けがされてしまうのでしょう。
初版本や限定本に魅かれる人もいますが、こうなってくるともう中味は二の次となることもありそうです。古書市などでは年代物の限定本や初版本が高値で売りに出ています。誰が買うのか、よほど本が好きな、本自体が好きな人が買い求めていくのでしょう。以前古本屋で作家の署名入り初版本が店先に出ていました。田中 絹代という女優の本でした。たしかあの女優さんは孤独死したはずです。元気な頃のものだったようですが、少し寂しげな本でした。

(そこ 乗らない方がいいと思うのだけど・・・、出来れば乗って欲しくないんだけど・・・)