“アイ ハブ ア ドリーム”と言ったのはキング牧師でしたが、誰でも夢の一つや二つぐらいは持っているものです。でも今日の夢はその夢ではなく、夜に見るほうの夢です。
いやに生々しい夢を見ることがあります。現実との境が付かないような、目が覚めたのにまだ夢の中に居るような夢です。いや実際にはまだ夢の中で、夢の中で目を覚ましている、と言ったややこしい夢を見たことがあります。強い願望や希望などが有って、それが夢での実現となり、夢で終わって欲しくないという思いがその夢にかぶさって、と言った欲の深さが原因なのでしょうか。翌朝になって考えるとほっとしたり、がっかりしたりするのですから、かなり欲求のはけ口にはなっているのでしょう。ヒトは夢を見なくなると疲れや不安が解消しないと言われますから、夢という別世界に浸るのも大事なことなのだと思います。
きみや来し われや行きけむ おもほえず 夢かまことか 寝てか 覚めてか
在原 業平が伊勢に立ち寄った時に、伊勢の斎宮と良い仲になって、その時に斎宮が詠んだ歌だそうです。もともと斎宮さんは神に仕える方ですから、他の男とそんな仲になってはマズイと思われるのですが、あの当時はきっとかなりおおらかで、周りも見て見ぬ振りなどしたのでしょう。こういった夢か現などは大変あらまほしく、うらやましいかぎり、願わくば私も見てみたいと思うのですが、すでに機会も何もなく、苫のうらやの 秋の夕暮れ と言ったところで、“やんぬるかな”とため息をつくのがせいぜいな今日この頃なのです。
寝ても寝ても 夢また夢
