先走り

 ほかの人に先んじて動く、あるいは早まって動く、などというときに使われる「先走り」ですが、良い意味で使われるよりは“早とちり”、もしくは“性急”と言ったややマイナスイメージが付きまとう言葉です。
 安部首相がトランプ米国次期大統領に会うとかでアメリカまで出かけていきました。本人や周辺は大変得意顔のようですが、果たしてそうなのか少し疑いたくなります。確かに他国に先駆けた外交と言えなくはないでしょうが、はっきり言って今のところ丁と出るのか半と出るのか各国とも様子見の段階ともいえるこの時期に、わざわざ国会会期中に出かけていくほどの緊急性も重要性もないのではと思ってしまいます。TPPの話がオジャンになることを心配している首相の思惑もあるのでしょうが、何もこちらからノコノコ出かけて行くのも余りに節操がないような(相手はまだ無冠)、土下座外交と言われても仕方ないような、そんな先走り外交は相手に足元を見られかねないと思わざるを得ません。“一番に電話会談した”とか“一番に直接会談した”とかいう実績が、今後の対米関係にどれほどの効果をもたらすのか疑問です。そんな先走りよりもじっくり戦略を練って対処したほうが「国益」にもなるのではないでしょうかねえ。他国の首脳や政府関係者にとっては、日本の行動は丁度よい見物となることは間違いなく、トランプ次期大統領との間合いを図るための絶好の機会と歓迎されるでしょうが。
安倍首相は出発に先立ち記者とのやり取りの中で、盛んに“トランプ大統領”を連発していましたが、まだ大統領ではないのですからあまり舞い上がって先走らないようにした方が良いと、誰か注意した方がいいんじゃないでしょうか。

果報は寝て待て、ね