ペットシンドローム

 もう大分前になりますが、「ペットロスシンドローム」という言葉が新聞などで良く取り上げられました。今ではあまり聞かれなくなりましたが、状況はさらに異なったところで深刻になっています。ペットに身も心も奪われてしまう病です。「ペットシンドローム」といいます。これはペットと関わることにより発病します。私は以前にある調査で水田周辺の小川を定期的に漁っていたことがあるのですが、その近くにペットの墓地があり、毎週のように参拝者があるのに驚いたことがあります。これなどは「ペットロス・・」に当たるのでしょう。そのころは“まったく・・・”と呆れていたのですが、自分がこの病に冒されてみるとその気持ちが良く分かるのです(私も一度「ペットロス・・・」になったのです)。
 現在の私の場合は俗に言う「猫馬鹿」という症状の「ペットシンドローム」で、犬を飼っていた時には発病しなかったのですが、猫と暮らし始めるとすぐに発病となりました。もともと犬好きだった私は犬には免疫が出来たていたようでした。この「猫馬鹿」という病は、字の通り馬鹿になる病で、他人が、或いはネコに興味の無い人が見ると完全にイッテしまっている、正気とは思えないような症状を呈します。そしてこのことに罹患した本人は気付かないのです。この病は作家に多いとされ、内田 百輭や佐藤 春夫、大仏 次郎など挙げればきりがないほど居て、これら著名な作家たちも重症患者でした。最近では町田 康などが罹っています。もちろん作家でない人にもこの病気は多く、you tubeなどではその蔓延振りが顕著です。国営教育放送でも早朝、深夜にわたり“わたしねこ”とか“おれ犬”なんていうものを流しています。おそらく感染者が居るのでしょう。
 闘病中の私は、“みいたん”のお腹を撫でながらへらへらしたり、でたらめな歌を歌いながら毛づくろいや給仕係をする毎日ですが、この病は加齢とともに重症になるようで、こまったものと思っています。さしあたって治療方法もないようですから諦めていますが。

今週もよろしくお願いいたします。