前衛

絵画の世界では“前衛”と呼ばれるジャンルがあって、彫刻や音楽にも同じようなジャンルがあります。舞踏家にも前衛舞踏家が居るし、書道にも“前衛”と冠がつく人たちが居ます。けれど小説や文筆業の世界ではあまり聞いたことがありません。“前衛小説”もしくは“前衛作家”といったジャンルあるいは人たちは居るのでしょうか。「フィネガンズ・ウエイク」という題名の読み物などは、それに近いものと言えるかもしれませんが、どうも文章というのはあまり崩しようがない代物のようです。
例えば、「AOUk・ふい:kr・tろrwめ」とやっても何を言っているやら皆目見当がつきません。また、「山のあなた 飛んでも八分 私は会で海野の町」と書いても“訳和姦ね(訳わかんね)”となってしまいます。「渚 白い足出し」と詠んだのは俳人の尾崎 放哉ですが、「咳をしても一人」などの有名な句も、前衛というよりは“抽象”というジャンルと言うべきで、もともと抽象文学と言われる俳句の進化の一形態ではないかと、勝手に想像しています。
しかし、絵画の分野では“抽象”が前衛絵画と呼ばれていた時代がありましたから、俳句は文章界の“前衛”となるかも知れません。ただもっと前衛的な文章というものを誰かが開拓して、表現の選択肢を広げてくれると面白いと思うのですが、やはり崩しようのないジャンルでしょうか。
 
 これなんか前衛と言えば前衛で・・・