「カラマーゾフの兄弟」

読み終わりました。長い、名前が分かりづらい、話がくどいといったロシア文学の特徴をすべてに備えた本でした。第1部、第2部は神学をテーマとした気の遠くなるような長台詞が続きます。第3部は打って変わって喜劇的ともいえる展開があり、第4部は法廷ドラマ仕立てで話は進み、意外な結末と主人公の演説という大団円で終わります。ドストエフスキーが何を言わんとしていたのか、私のようなぼんくら頭ではその真意をつかむことが出来ません。でも、正直言って面白かったですよ。村上春樹の「1Q84」よりは読みごたえがありました。ロシア文学に限らずあの時代の作家は、登場人物に長い台詞を言わせるのが好きだし上手です。トーマス・マンの「魔の山」でも登場人物がやたらと喋り捲りますが、読んでいて“くどいなあ”と思いながらついつい引き込まれてしまう、そんな魅力ある筆力を感じてしまいます。まあ、趣味の問題ですが・・・。
さて、8月も終わりギャラリーも終わり、今年も残すところあと4か月となりました。ギャラリーで儲けたらニコンのD800でも買おうと胸算用をしていましたが、案の定そんなことにはならず、高嶺の花は眺めるだけになりそうです。その昔ニコンFを買った時には、当時の給料の何か月分かを叩いたものですが、もうそんな気力もお金も無くなりました。落日の老人は昔を懐かしみ深い寂しさに心が疼くのでありました。そこで一首。
寂しさに 耐えたるひとのまたしても あとは野となれ山となれ
 
 何が一首よ