土鍋

唐突ですが土鍋っていいですよね。何とも言えない丸みを持っていて、色も黒釉や飴色の渋いものが多いし、土もの特有の地肌の温かみもいい。眺めているだけで気持ちが休まると言うか、もちろんそれで作る料理も美味しいのでしょうが、残念ながら私は鍋料理というのはあまり好きではなく、したがって鍋を買ってもきっと使うことはあまりなく、だから家には土鍋は一つぐらいしかなく、出番はさらになく台所の隅にずっと置きっ放しになっているのです。まさか土鍋を飾って置くということもあまりないことなので、今までは考えなかったのですが、壺や皿を飾るのだから鍋も有りかと突然思い立ったのです。
私の悪い癖で、何か突然思い立つと、もうそればっかりが頭の浮かび、生来の物欲がむらむらと頭を擡げてきてしまうのです。そうだ、“ねこ鍋”という使い方もあった、などと下の写真の方が鍋の中に入っている姿を想像したり(食べる訳ではないのですよ、念のため)、いっそのこと鍋料理にでも挑戦してみようか、何てことまで考えてしまうのです。
ネットで検索してみると、楽天やらアマゾンやら何やらで、惚れ惚れするような土鍋がいっぱい売っている訳で、ダイヤモンドや金の延べ棒を買おうと言うのではないから値段もそこそこだし、けれど、やはり、鍋を飾ることにはやや抵抗があり、いくら土鍋とは言え鍋は鍋で、壁に掛けるよりは火にかけた方が似合っているのだし、鍋料理はイマイチだし、しまっておいたのでは意味がないし、などとグダグダ思い悩む老人の冬の午後だったのでした。


ねこ鍋してあげてもいいわよ