オオカミが来た

 北朝鮮のミサイルが日本上空を通過するたびに「Jアラート」という警報が鳴り響き、「頑丈な建物や安全な場所に避難してください・・・」とけたたましくTVやラジオでアナウンスがされます。まるで空襲警報のような騒ぎで、頭の上から爆弾でも落ちてくるかのようです。仮にもしそんな状況が現実のこととなれば、もうどこにも逃げようがなく、避難する場所など何処にもありません。現在の日本の探知技術からすれば、発射されたミサイルの弾道や予想着弾点は容易に把握できるはずであり、にも拘らずやたらと騒ぎ立てて、おまけに避難警報まで出すというのは、あの「オオカミが来た」という寓話が現実化されているとしか思えない、そんな気がするのです。
 それに万が一にも日本国内に落下する危険性がある場合は、ご自慢のイージスシステムや何とかという迎撃ミサイルシステムで対応できると、政府の皆様は普段より声高に仰っているのですから、なにもそんなに、上空を通過するだけの、あるいは上空さえ通過しない地域まで、殊更に「オオカミが来た」と言い立てる意味があるのかと考えざるをえません。それとももっと他に意味があって、例えばこの事態を利用して安保法制や自衛隊装備の強化を目論んだりする方便として、事実イージスショア導入も予算要求するとのことですから、そんな勘繰りもしたくなってしまうほどの空騒ぎぶりと思えるのです。
 寓話「オオカミが来た」のほうはご案内通りの結末で、空騒ぎの無意味さ、危険さを教えて終わるのですが、「Jアラート」は多額の税金を使っての武器購入の口実や、国民の生活を危険な方向に引きずり込もうとするプロパガンダにも思えます。馬鹿ばかしい避難訓練をしている小学校や市町村もあるようですが、すこしは自分の頭で考えろと言ってやりたい気分です。

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