電気

 前回はバッテリーのことに触れましたが、あれも電気を使う道具です。今の私たちの生活は電気無しでは成り立たないようになっています。電気が私たちの日常生活に入って来てからたかだか100年になるかならないかの、言ってみれば最近の出来事であるのですが、身の回りで電気を使っていないものを探すのはとても難しい状態になっています。けれども世界の中では電気も水道もない地域が数多くあり、日本のように台所からトイレまで電気無しでは機能しない国の方が、地球規模で見ればむしろ少数派と言えるかも知れません。あの「3.11」の後で日本中の原発が止まり一時的な電力不足になった時、“計画停電”という事態が東京でも起きました。幸いにも私の住んでいる地域は一度きりの停電で済みましたから助かったのですが、それでも電気が止まることで生活が成り立たなくなることを改めて実感しました。停電が日常的に起こる開発途上国などでは考えられないほど、ある意味では脆弱な生活基盤の中で暮らしていることが分かったのです。
 ではそんな危うい生活から抜け出て、電気や化石燃料の使用を最小限に抑えて暮らす、あるいは電気は風力、水力で賄い、化石燃料の代わりに木材を使う自給自足のような生活を目指せるかと言うと、これも考えるほど簡単ではなくかなりの体力と根気、頑強な意思といったものが前提条件として必要であろうと思われます。残念なことに私にはそのどれも無いので、東電や経産省の言われるままに「事故原発廃炉費用及び被害者への補償費用」なども電気利用者の負担で賄うという理不尽を、唯々諾々と飲むしかない道をとらざるを得ません。事故などあり得ないと言って津波対策を怠った事業者、安全安価だと政策的に推進した政府の、事故責任や管理責任のツケをこれからずっと電気料金に上乗せされて払い続ける、“電気奴隷”のような暮らしが待っているのです。

太陽エネルギーのありがたさが分かる