山茶花

いつも歩いている散歩道沿いの山茶花がちょうど見ごろとなっている。山茶花と椿の違いは何度聞いても覚えられないが、この散歩道の花が山茶花であることは分かるのだから、椿との違いが飲み込めてもよさそうに思うのだけど、二つ並んでいるとどっちがどっちだか判別がつかなくなる。
この時季は花が少ないから山茶花の花は目立つ。八重の白や深紅の花は濃い緑の葉とよく調和している。その昔、武家の庭木に椿は植えないものだったらしい。花が丸ごと落ちる椿は、“首”を刎ねられるところを連想されて縁起が悪いものとされたと言う。山茶花は丸ごとではなく花びらで散るというから、散った地面を見れば椿なのか山茶花なのか分かる道理なのだが、ついそこまで気が行かず花に見惚れてしまう。
雪の降り積もった椿の花の写真はよく見かける。寒椿などという言葉もあるくらいだから冬の寒い時季に咲く花なのだ。“寒山茶花”とは聞いたことはないので、やはり山茶花は椿より早い時季のものなのだろう。
今年は10月に桜が咲いたりつつじが咲いたりして驚いたけれど、いつもの通りに季節が巡ってきて芽吹きが始まり花が咲くという、そんな当たり前のことが珍しくなる時代がそこまでやって来ている、などと思わないで済ませたい。


これは山茶花ではなく薔薇。同じ仲間と思ったけど山茶花はツバキ科だったのです。