北杜市で起きていること

山梨県北杜市太陽光発電にからむ住民訴訟が起きています。あまりにずさんな太陽光パネルの設置管理によって、周辺住民に様々な問題を引き起こしているのですが、そもそも事の発端は北杜市が“太陽光発電の町”とやらの掛け声で、ソーラーパネル発電施設の誘致を積極的に呼びかけたのが始まりらしいのです。この問題はTVでも取り上げられていて、そのなかに知人が出ていたのでびっくりして電話したところ、今大変なことになっているとの話でした。
行政の肝いりで“自然エネルギーの町”を売り出すというのは、“原子力で豊かな町”というものの裏返しのような気もしますが、しかし太陽光発電をはじめとする自然エネルギーの利用開発を促進すること自体は、時代の要請に合ったものですし、市町村などの自治体が主体的に取り組むことのできる新しい分野であると思われます。ですから、基礎自治体としての強みを生かした対応が期待されるのですが、北杜市の場合は非常に短絡的な発想でしかこの課題を捉えていないようなのです。原子力や火力に代わる新しいエネルギーとしての太陽光発電は、周辺環境に対する負荷の少ない安全なエネルギー源として有望なものです。しかし、ソーラーパネルの反射光や景観、周辺居住地区との共存などに注意を払う課題があり、設置に当たってはガイドラインを作成して、住民参加協議会や環境評価をきちんと行うなどの必要があると思います。にもかかわらずこの点では行政の取り組みは弱く、国も市町村も具体的なガイドラインを示していないのが現状です。その結果として今回のような問題が発生し、北杜市では住民訴訟まで起きてしまっているのです。
知人の話によれば、すでに問題化している地区での北杜市側の対応は、まったく誠意の見られないもので、「誘致優先」を盾になんらの策を講じることもなく、また議会もほとんど当てにならないとのことでした。これでは何のための自然エネルギーなのか分からないと言われても仕方ないでしょう。訴訟の行方いかんにかかわらず、太陽光発電が未来のエネルギーにふさわしい位置づけとなるようと願わずにはいられません。


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