勝手な言い分

北朝鮮、正しくは朝鮮民主主義人民共和国という国名で、民主主義とか人民共和国という言葉がたいへん場違いなのか、近頃では正式名称で呼ばれたことのない国が、「水爆実験」に成功したとの“重大発表”を行いました。
日本政府の反応は誠に素早く、“重大な脅威”とか“新たな制裁を”とかの官房長官談話を出して、自分たちの安保政策の正当性をことさら強調しています。北朝鮮が核実験を行ったのは過去に3回で、今回を含めれば4回目ということとなり、言うところの「水爆実験」が真実であれば米、ロ、英、仏、中に続き6番目の水爆保有国となるそうです。一説には「水爆実験」かどうか疑わしくホラではないかとの憶測も出ているようですが、核実験には違いないようで、聞くところによれば今年も食糧事情が一向に改善されていないらしく、原爆どころの話ではない人民にとっては、“何をやっているんだか”と私たち以上にいぶかしく思っている人が数多くいるのではと推察いたします。
しかしながら、いつもいつも思うのですが、何千発もの原爆や水爆を持つ核保有国の面々が、たった4回の核実験にあれこれ言える立場にあるのか、さんざっぱら地上地下を問わずにドンパチドンパチと破裂させておいて、“おめえはダメだ”と言っても説得力に欠けること夥しく、知恵ある人の振る舞いとは思えぬ勝手な言い草にあきれるとともに、その尻馬に乗って“やれ脅威だ”、“ほれ見たことか”と騒ぎ立て、国防強化のムード作りに利用する魂胆見え見えの官邸周辺の動きには、警戒をする必要があると感じてしまいます。
折から国会では、昨年の安保法制成立の是非を含めての論議が始まろうとしています。参議院選挙では当然それらが焦点として争われるはずです。理屈の通らない勝手な言い分に惑わされることのない議論の必要性と、核兵器の製造、保有、使用の全面禁止を実現させる取り組みを強力に進めるべきと思います。

まっとうな意見です。