文化の日

憲法第9条を廃棄しようと思っている人たちが中心となって、11月3日の「文化の日」を「明治の日」とする動きがあるようです。自民党改憲グループなどを中心に休日法の改訂なども検討すると言われています。
もともと11月3日という日は「明治節」として戦前は休日であったと言います。因みに明治節とは明治天皇が生まれた日だそうですが、戦後になって新憲法の公布日がこの日と重なり、それを記念して「文化の日」となったとされています。なぜ憲法公布日と明治天皇誕生日が重なったのか、その辺りの事情はよく知りません。しかし「文化の日」という祝日を決めるにあたっては明治天皇の誕生日は考慮されなかったとされています。あくまで新憲法の精神を踏まえての祝日命名であったようです。
「明治の日」と変更したい人達の言い分は、明治という時代をこの国の重要な出発点として位置づけていきたいようで、いまこそ明治の精神がこの国に求められている時、そのためにも明治天皇の誕生日でもある11月3日を「明治の日」に、ということらしいのです。しかし、昭和天皇の誕生日が「昭和の日」となっていることと合わせて考えてみると、それじゃ大正天皇の誕生日はどうするのという素朴な疑問が生まれ、かと言って天皇の誕生日を全て祝日にするとなるともう3人だけでは済まされずに、1年中がほとんど祝日と言うことにもなり兼ねない、“毎日が休日、エブリーデイ・ホリーデイ”と踊りだしてしまいそうな状況だって生まれそうになる訳です。
また、いくら明治が好きだからと言っても鹿鳴館時代の猿真似や薩長閥政治の偏向的、泥臭い政治風土までも肯定的に見ることは出来ないでしょう。それに明治天皇は基本的には薩長閥の操りであった訳ですし、どうも明治好きの人たちは司馬遼太郎の本を読みすぎているとしか思えません。私も司馬さんの本は好きですが、あの人は明治に思い入れはあっても懐古的になっている訳ではないから面白いのです。ましてや天皇だけを持ち上げたところで明治という時代を理解できないでしょうし、明治政府のやったことを全て肯定なんかとてもできないと、司馬さんだって考えていたと思います。
文化の日」は“健康で文化的な生活を送る権利”を謳った新憲法の精神を思う日なのです。

健康で文化的