本の話

本と言ってもいろいろあって、絵本から学術本まで多種多彩です。私が読む範囲と言えば小説や簡単な学術系のもの、写真や絵画の本といったところでしょうか。図書館には頻繁に行きますがこの頃は書店に行く機会が減りました。理由は本の価格が全体に上がっていることと、ネットで注文できるから書店まで出かける必要がなくなったことによります。以前は神田の古本店にも良く行きましたが近頃はとんとご無沙汰しています。
本を読む習慣はつけてしまえばどうと言うことのないものですが、慣れ親しむ環境が無ければなかなか習慣化できません。私も高校生になるまではほとんど読書というものに縁がありませんでした。しかし漫画だけはよく読んでいましたから、広い意味では読書習慣を獲得していたと言えるかもしれません。漫画から活字だけの本にどのように移行していったのかあまり記憶はないのですが、しばらくの間は漫画と並行して読んでいたのです。白土 三平や永島 慎二の、そして手塚 治虫の漫画は20代後半まで読んでいました。「ガロ」や「COM」という漫画雑誌にリアルタイムで出会ったことは、今でも幸運であったと思っています。「じゃりん子 チエ」も忘れられない本です。
最初にきっちりと詠んだ活字本は五味川 純平の「人間の条件」だったと思いますが、よくあのような長いものを最初から読んだと、いまから思えば感心しますがきっと漫画を読んでいたことと、高校生らしい知的高揚期にあたっていたことが幸いしたのでしょう。その後は案外と簡単に活字本が身近となりました。最近読み始めた本で「昭和史」というのがあります。半藤 一利さんの代表作ですが、今まで素通りしていたのが惜しまれるほど面白く、“目から鱗”的驚きの連続です。こういった本を読みますと、如何にものを知らないで来たのかと今さらながらに思わされます。1945年の敗戦まで現在の中国東北部に「関東軍」という日本の軍団が駐留していたのはよく知られていますが、「関東軍」という名称が当時の中国関東州の旅順・大連に司令部を置いていたことによる、なんてことを私は今まで全く知らずにいました。てっきり日本の関東地方出身の部隊であるからと思っていたのです。“昭和”生まれの私にとってこの本は大事な蔵書となりそうですが、ブック・オフで1冊100円、戦後編と合計税込で216円というのは、いささか著者には気が引ける思いです。

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