自衛隊と軍隊の違い

「安保法制法案」という戦争法案が国会で審議されようとしていますが、この法案はごく初歩的な問題での疑問が解決されていないと言う指摘があります。それはこの法案によって行われる後方支援時に、相手方から攻撃を受けて臨戦し双方に死者が出てしまった場合もしくは怪我人が出た場合の、自衛隊側の武器使用者、別な言い方をすれば相手を殺した隊員もしくは傷つけた隊員の法的な扱いのことなのです。自衛隊法によれば、自衛隊の武器使用時での法律的な扱いは、「警察官職務執行法」を読み替えるものとされ、警官が拳銃を発砲した時にその都度適正であったかどうかを判断する、あれが必要となるのではないかという指摘なのです。
そもそも軍隊という組織は破壊や殺人を実行することを目的とした組織ですから、交戦によって死者が出てもその都度その原因など究明しませんし、武器使用が正当であったかどうかなどを判断しないのです。そういった状況の中に「自衛隊」という“異質”部隊が入って行って活動しようとするのですから、どのように言い繕うとも齟齬がきたしてしまうのは否めません。中谷防衛大臣は、今回の安保法制案によってアメリカ軍との連携がますます強くなり抑止力が増すことにより、自衛隊へのリスクは小さくなってより安全な活動が出来ると言っていました。どうも首相と言いこの大臣と言い、安倍内閣の閣僚は自分に都合の良い解釈しかしない癖をお持ちのようです。どう考えても今回の安保法制が採用されれば、自衛隊がより危険な地帯に踏み入ることは必定で、したがって危険度は高まりこそしても低くはならないと考えるのが自然です。
また、自衛隊員にとっても今回の法改定は就職条件の変更であり、もっと言うなら労働条件の改悪であるのですから、当然隊員の意見も聴取すべき案件であると思われるのです。仮に、法改定に伴い戦闘行為に参加した場合には、自分が負傷もしくは殺される、又は相手を負傷させるもしくは殺す羽目になる可能性もあり、富士の裾野でのんびりと演習して済むのとはわけが違うこととなるのです。
私は経験がありませんが、実際に人を殺す羽目になった人がその後どのように日常に復帰するのか、想像するだけで辛いものがあります。映画やドラマの世界ではないのです。

戦争法案反対