名画のオンパレード

休館間近のブリジストン美術館へ行ってきました。「ベスト・オブ・ザ・ベスト」展と言うだけあって、億単位の札束が並んでいるような豪勢な展覧会で、石橋財団の資金力というものに改めて思いを致すのでした。
トヨタ自動車のように円安をテコに空前の利益を上げ、言い方を変えれば国策を利用して、さらに言うなら税金を利用してのぼろもうけの最中である会社が、下請けや低賃金で働く派遣やパート労働者に、その利益、儲けを社会に還元することなく、内部留保を膨らませるだけ膨らませるという、破廉恥な行為に終始していることを考えれば、石橋 正二郎という人物は、同じ経営者として豊田一族とは別格のものであったと思わせるに充分な展覧会であったのです。もちろんブリジストンだって派遣もパートも使っているでしょうが、あの絵のコレクションを見ているとかなり贔屓目になってしまう、とも思ってしまいます。
大原美術館、松方コレクションなど、この国にも個人の名前を冠した収集物の公開が幾つかありますが、アメリカなどと比較するとその規模、数ともに敵わないようです。富裕層が富を独り占めするのではなく、その社会的責任を自覚して社会活動や美術、芸術に貢献するのは、持てる者のステイタスでもあります。そんなものは格差社会を隠ぺいする資本主義の巧妙な手口、などと言われた時代もありましたが、まあ目くじらを立てずとも良質な社会貢献として、美術品や絵画を買い集めて美術館でも建て、安い料金で一般公開してくれると有難いと思うのです。しかしそんな太っ腹や見識を持った資産家は近頃では稀なのでしょう。どうも世間はチマチマした者たちが幅を利かせているようで、“小物”が仕切るセチガない、それでいて強欲な世の中となっているようです。「ベスト・オブ・ザ・ベスト」展を観てそんなことを考えました。

ここにあるのは実用品