揺りかごから墓場まで:提案第4弾

 この頃ではあまり耳にしませんが、“揺りかごから墓場まで”というコピーは福祉社会(これも近頃ではあまり聞きません)を目指す国のうたい文句でした。現在でも北欧などを中心にした福祉社会先進国では、ヒトの誕生から死までを通して行政が関わることを、国や自治体の重要な仕事と位置付けているようです。 私たちの国でもそういった福祉国家を目指し、医療、年金などを中心に制度の確立、拡充を曲がりなりにも図ってきたのです。 しかし、バブルの崩壊とその後に続く経済の低迷は、それまでの福祉重視から経済成長優先への路線変更を押し進め、民活、産業優先の政策がとられ現在に至っています。その結果、格差の拡大や貧困が社会的に大きな問題となりました。
そこで、提案第4弾としてはこの“揺りかごから墓場まで”を踏まえた自治体の役割について考察してみたいと、思っちゃっているのです。で、私の立場上揺りかごと墓場のどちらが近いかといえば、これはもう文句なく墓場な訳ですが、そうなると身も蓋もなくなるとも言え、ここは福祉全般という方向で進めてみたいと思っているのです。
イスラム国」という組織が世界を揺るがしています。世界80カ国から1万5千人もの志願兵を集めて、シリアとイラクにまたがる地域を実効支配していると言われています。この組織が単なるテロ集団と違うのは、行政組織のようなものを持ち、集団に従う住民の管理を行っているらしいということです。医療、食料配給といった分野さえあるというのですから、広義の意味で言えば“福祉”にも関与している組織であるとも言えます。
私たちの国の行政は、憲法第25条の「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という条項の実現に努力すべく義務づけられています。ですから私たちは国や自治体に対して、生まれて路頭に迷うことがないよう、飢えで死ぬことがないよう、健康で文化的生活が送れるよう、老人となって住むところや食べるものに事欠かないよう、そして、こころ安らかにあちらに旅立てるように求める権利があるのです。まさに“揺りかごから墓場”までを行政は責任をもって提供しなければならない訳です。
つづく

何処に続くの