未来を選択する選挙

表題は岩波書店発行の雑誌「世界」2015年1月号の特集タイトルです。果たしてタイトル通りの選挙であったのか今後検証されてゆくのでしょうが、投票率の低さなどから見れば“未来を放棄した選挙”とも言えそうな気配です。
昨日も書きましたが、現行の小選挙区制度はあまりにも矛盾だらけで、国政を担当する人たちが地域代表となり、我田引水を繰り返して大所高所の議論が低下する、選挙区間の1票格差は甚だしく拡大し、死票は大量に出るから、当然のことながら棄権する人が増加する、そして選挙そのものへの関心がなくなるなどの外に、なんと言っても最低でも半数の、場合によっては8割以上もの死票が出るという、言い換えれば民意を全く反映しない選挙制度と言える有様なのです。アメリカ型の2大政党を前提にして考えられた制度とされていますが、議会制民主主義が効果的に運営されるには、極力多くの意見が議会に反映されることが望ましく、単純にAかBかでは決められない、つまりは3以上の複数の政党が当然必要となってくるはずです。そうなってくれば“多党化”は避けられず、多党化すれば小選挙区制度での死票は限りなく増えるのです。したがって全有権者の3割程度の支持が得られれば議会内での圧倒的多数を占めることが可能で、まさに今の状況がそうであり、民意のマジョリティを無視した政治がまかり通ることが出来るのです。ですから選挙制度の基本は、比例選挙方式で死票が出ない制度が望ましいのです。
参議院では以前に「全国区」という選挙制度がありました。選挙費用がかかるとか知名度が無いと当選しない、“タレント区”となってしまうなどの理由で廃止されました。しかし細部に捉われずに物事を広く見つめる見識が求められる国会議員には、全国一区というような広域な選挙制度も望ましく、都道府県単位の「地方区」と合わせ合理的な選挙制度であった思います。議員定数を現在の半分ほどに減らし、衆議院都道府県単位の、参議院は全国1区の、ともに比例代表制としての選挙制度をつくったらどうでしょう。比例代表制にすると政党本位となるので個人の立候補が難しい、という意見もありますが、そんなことは無いと思います。
とにかくこのままでは議会制民主主義の形骸化がさらに進み、“未来を選択する選挙”とはほど遠い状況が繰り返されるばかりです。

未来を見つめる