自然保護

ヒトが「自然保護」などとはおこがましい、といった意見はよく聞かれます。私も概ねその意見には賛成で、ヒトに保護されるほど自然はヤワではないと思っています。けれども短いスパンで見るならヒトが自然に及ぼす影響は無視できるものではなく、“破壊”と呼べるような環境へのダメージを繰り返しています。そういったヒトの活動に一定の歯止めをかけ、今ある自然、環境を保全するために様々な分野での取り組みが、これもヒトによって行われています。自然保護運動あるいは団体といったところがそれらの担い手となって、各地、各分野で活動を続けています。
そういった団体の一つである「トトロのふるさと基金」から会報が届き、2014年度の会員数を見て愕然としました。会員数が千人をはるかに割り込んでいたのです。900人という会員数でした。私が入会したときにはたしか1600名程度であったと記憶していますから、半減とまではいかなくともそれ近い人が会員を辞めていった勘定になります。「トトロのふるさと基金」という団体は、名前が示す通り、アニメ「トトロ」の舞台となった狭山丘陵を中心とした「ナショナル・トラスト」運動を進める団体で、会員や市民からの寄付で開発予定地の買取などを行っています。イギリスのナショナル・トラスト運動と比較すると大分規模が違いますが、日本国内ではそれなりの実績と規模があると言われている団体です。その会員数がたったの900名とは・・・、愕然としたのです。
私も会員とは名ばかりの“枯れ木も山のにぎわい”程度なのですが、一応毎年会費を納め関心だけは絶やさずにいようと心掛けてはいるのです。以前には調査活動に参加したりもしていたのですが、この頃はとんとご無沙汰で面目ない次第となっています。この国の自然保護団体や運動主体は本当に小規模のものが多く、資金や人手が慢性的に不足しています。先進国と言われる中でもこの分野の貧弱さは日本が群を抜いています。このような処で”群を抜いて“もあまり自慢できることではないのですが、残念ながら実態はもう数十年変わりません、というよりは低下してきているというべきでしょう。”トトロ“の会員数はその表れであると思われます。この国は自然が豊かであると言われ、その事が保護運動の盛り上がらない一因にもなっていると聞いたことがあります。もしそうだとすると、喜んでいいのやら悲しんでいいのやら、複雑な思いです。

玉原高原のブナ林