バルテュス

都美術館で開催されている「バルテュス」展はなかなか盛況で、平日というのにかなりの人が入っていました。
ロリコンのじいさん”ぐらいにしか思っていなかったバルテュスですが、じっくり観てみるとデッサン力は大したものだし、色使いや画面の仕上げなども流石と思わせる画家で、単なるロリコン爺さんではなかったようです。失礼いたしました。
超有名と言われる“膝立てポーズ”少女の作品や猫の絵など、展示されている質も量もハイレベルの展覧会でした。まあ昔から女を裸にしても世間から批判されない職業の御三家とも言える、医者、絵描き、銭湯の親父。そしてこの職業のひとはなぜか女好きが多く、別名スケベとも言われていますから、バルテュスはその意味から言っても期待を裏切らない人物でもあったようです。彼の描いている少女たちはまさにバルテュスのスケベ心に呼応しているというか、とても少女とは思えないエロチックな雰囲気を醸し出しています。
ヨーロッパの有名画家は、ピカソをはじめ多情(女癖の悪い)な人達ですから、バルテュスの所業など驚くにあたらないのでしょう。あれだけのロリコンぶりを発揮しても“巨匠”として、後ろ指もさされずにのびのびと絵描き人生を送れたようです。最後の奥さんとなった日本人の方も大変若くしてバルテュスに見初められています。何ともうらやしい限りの人生だったのでしょう。
今回の展示の中で一番印象深く思えた作品は、「美しい日々」というやはり少女の絵でしたが、その中に描かれている“暖炉の火”に一番の印象が残りました。あのような火を描ける画家であれば少しはスケベでも仕方ないと思わざるを得ないほどの“火”でした。あとは「読書するカティア」というこれも大きな作品で、少女の本の影の中の表情と肌の質感には思わず唸ってしまいます。この絵は斜め横から見ると少女がいっそう立体的に見えるのです。おそらく画面の質感からくるものと思われ、一寸した驚きでした。
お暇な折にはご覧になるとよろしいかと。

私の仲間もモデルになっている