接触

その昔に、杉浦幸雄(だと思ったが)といった漫画家が居て、銀座の売れっ子ホステスの得意技というのをなにかの雑誌に書いていた絵を覚えています。絵を文章で言い表すのは難しいのですが、簡単に言うと、両隣の客に膝と手で常時触れている、と同時に前の客には目線で触れるという図柄であったのです。客に自分の体のどこかしらを常に触れておくことで親近感を与えるという、単純だけど非常に効果的な接客法で、さすが売れっ子は違うと思ったものでした。
下の写真の方もその手のことは得意で、お腹がすいた時や遊んでほしい時には盛んに体を擦りつけたり噛んだりします(ちょっと違うかな)。眠る時なども寒くなると布団の上から体の在りかを探りくっついてきます。美人のホステスにくっついてこられるのと同様に、この接触戦法は効果的な攻め方で、ついほだされてしまいます。ただこれで眠られると、こちらが寝返りを打ったりするのが難しくなって(接触が途切れたり、目を覚ましたりしてしまうから)、安眠できないという難があります。もちろんホステスもニャンコも自分の都合だけでやっているのですから、こちらのことなど毛ほども考えに入れていないのですが、なぜかマインドコントロールされてしまい、朝起きると腰が痛くなるといった状態がたびたびということになります。
同じ接触でも、満員電車の中で汗臭い親父や厚化粧のおばさん辺りにくっつかれると、“あっち行けよ”と心の中で叫んでしまうのですが、何が違うのだろうと深く思いをいたしてしまうのです。

なに 私がくっつくのがうれしいって?