拝啓

このところの陽気はすでに夏を思わせ、梅雨入りの話もなにか余所事に感じられる毎日です。もう慣れっこになってしまった“記録的”や“観測史上初”という言葉も、あまりに使われすぎたためか近頃では出番が減ってきたようです。非日常が日常になる日もそう遠くないのでしょう。
そう言えば、最近では手紙を貰うことも書くこともなくなりました。郵便受けに入っているのはダイレクトメールとカード会社の利用明細通知ばかりで、近況を知らせる肉筆のはがきや封書はとんとご無沙汰です。携帯やPCのメールは便利だけど、便利さと趣とは違うからやはり別物で、その携帯やPCのメールさえも殆ど来ないのだから、肉筆の手紙など望むべくもないのでしょう。
向こうから来なければこちらから出せばよい、とも思うのだけれど、今の時代、突然に封書など貰った方はびっくりするか、気持ち悪がるか、いずれにしても“なんだあ こりゃ”と思われるのが関の山と、書くのも出すのも躊躇われるのです。
私に限って言えば、封書でもはがきでも、肉筆で書いた手紙を貰えれば、その日一日は幸福な気持ちになれる気がして、まあしかし、不幸の手紙というのもあるから世の中そんなに甘くはなく、大体手紙を貰って喜ぶ歳でもないだろう、などと自己否定してみたりで、今日の一日が過ぎてゆくのでした。
敬具


私の今週が過ぎていく