字を見ているだけで気持ちが塞いでくるというのがありますが、この「鬱」などはそのものズバリで、よくまあこんな字を考え出したかと思うほどのオーラを発信しています。画数の多い字はそれだけで何やら独特の力があるような、言ってみればまじないの呪文のような雰囲気を漂わせています。以前に「薔薇」という字が流行ったことがありました。これも何とも淫靡な感じを持つ字で、今使った「淫靡」同様になにやら怪しげムード満載なのです。
漢和辞典を見ていると画数の多い字が山のように載っていて、その殆どを知らないという事実に驚かされます。書けないことはもちろん、読むこと、使うことさえない字の多いのには、“なぜこんな字を・・”との疑問さえ抱かせます。画数の一番多い字は、という問いはよく出るようで、検索にすぐヒットします。近頃ではワープロもかなりの画数のある字を利用できますが、さすがにその字は出てきません。こういった画数の多い字は「国字」と呼ばれる和製漢字が多いようですが、因みに私の使っている安い漢和辞典の最多画数は33画、「鹿」を三つ重ねた「麤」(そ)という字で、「粗」と同じような意味と書いてありました。“鹿が群れをなして遠くに行くさま”を表わしているようです。
何かの本で読んだのですが、修行中の坊さんが辞書で「女体」という字を見て悶絶する話がありました。こういう坊さんに画数の多い、いやったらしい字をいっぱい見せたらどうなるのか、例えば「嫣(えん)」とか「嬲(じょう)」とか「孌(れん)」などを立て続けにちらつかす、よい修行になるのではと思います。字というのは妄想さえも起こす劇物でもあるようです。
PS 明日休みます、鬱だから・・・。
 

鬱なんじゃないの 眠いの