熱に浮かされる

私はどちらかというと、と言うよりは明らかにすぐ熱に浮かれる(自分から進んで浮かれる)ほうで、何かものに憑りつかれたように周りが見えなくなることがあります。例えば、あるものが欲しくなるとそのことしか頭に浮かばす、どうしたら手に入れることが出来るか、四六時中思いを致すというようなことです。ところが手に入れた途端に興味は急速に薄れてしまう、あるいは時が経ってみると、なんであんなに拘ったのかすらも忘れてしまうという、なんとも文字通り“熱に浮かされやすい”体質なのです。
つい最近では、トルコ絨毯に憑りつかれました。ペルシャ絨毯はトンデモナク高価な絨毯の王様と言うべき敷物ですが、トルコ絨毯もあの独特の文様、色で引けを取りません。やはり高価なのと、敷く場所もないのでさすがに買ってしまった、という事態には至らずに済んでいます。しかし、あの文様もさることながら、あの色使いには驚くばかりです。手織りの技術の高度な技が、あの色、文様を支えているのでしょう。ペルシャ絨毯は子供の小さな手で細かい部分を編むと聞いたことがあります。今では無いのでしょうが、以前では子供が過酷な労働を強いられた結果として、あの美しい絨毯が出来上がったとも聞いています。トルコ絨毯も同じように繊細な文様を編み上げていますから、ひょっとすると子供が手を加えているかも知れません。そんなことを考えると、トルコ絨毯やペルシャ絨毯のうえで良い気持ちになっているのは犯罪的とも思えますが、あの色、あの文様を魅惑的に思う気持ちには逆らえません。
おそらくこの熱もしばらくすれば冷めるでしょう。私に買えるトルコ絨毯はせいぜい玄関マット程度のものですから、砂漠の砂嵐と同様にじっと頭を下にして、熱が下がるのを待つだけです。しかし、なんであのように綺麗なものを踏んづけられるのか、不思議です。
 
 そんなもの買ったら バリバリするからね