中国のこと

遥かはなれた そのまたむこう 誰にでも好かれる 綺麗な娘がいる 
明るい笑顔 お日様のよう くりくり輝く目は お月様のよう
山羊にでもなって 一緒に居たい 毎日あの鞭で 私を叩いておくれ
これは「草原情歌」という中国の歌の歌詞です。ゆったりとしたリズムと流れるような旋律に乗せて歌われるこの曲は、中国の広々した草原を彷彿させるもので、もう40年以上前に覚えた歌ですが、今でも時折口ずさんでしまいます。
中国が今のような経済大国でなかったあの頃は中国に行くこと自体が大変で、もちろん観光などでは入国できずにいました。日中友好協会という左系の団体や青年交流会などという行事に参加することでもしなければ、簡単にはかの地に行くことが出来なかったのです。その青年交流会に参加して中国に行った人の話を聞いたことがあります。もうどんな話を聞いたかほとんど忘れましたが、覚えていることと言えば、みんな貧しくて、着ているものも食べるものも決して上等ではなかった、けれど「草原情歌」のようにゆったりとした生活がそこにあったと言っていたように記憶しています。
現在の中国の様子は、テレビやネットでかなり知ることが出来ます。40年前と比べれば情報量が格段と多くなっていますから、リアルタイムといって良いほどの状況が分かる時代となりました。そんな現在の中国を見ていると、どこで道を間違えたのだろうと思ってしまうほどの変わりようなのです。社会主義体制というものが行き着いた先の出来事とは思えないのです。周恩来劉少奇といった中国の革命家たちが考えていた国というのは、今とは違ったものではなかったかと思ってしまうのです。毛沢東は中国革命を指導した人物ですが、革命後の様々な失政を権力闘争という形で乗り切りました。思想家というよりは剛腕の野心家に近かったかもしれません。訒小平という人物は劉少奇と一緒に失脚しましたが、その後復活して中国の現在の方向を決めた人といわれています。今の中国の指導者たちはそれを引き継いでいるのでしょうか。
「創業と守成 いずれかが難し」とは昔の中国の言葉ですが、どうも「守成」に軍配が上がるように思えてなりません。
 
 秋ねえ