私は公務員の味方です

大阪市で「刺青調査」なるものを実施して、その結果市長は「刺青をしたければ民間に行けばよい」と言ったようですが、早速民間企業から迷惑な発言として声が上がっています。「刺青」を入れている人達が公務員であろうと会社員であろうと、その行為は各人の自由な裁量のもとに行われるものですから、他人がとやかく言う筋合いのものではありません。ただ「刺青(囚人にする目印)」は強制的に権力が行う罰であり、話題とされているものと異なります。任意で入れるのモノは「彫り物」もしくは「タトゥー」という名称が正しく、「刺青」とは区別されるのですが、近頃ではその筋の方がただけでなく、まっとうな職業の方がたも入れる、新しいファッションの一つとも言えるようなものとなりつつあります。アメリカのNBAの選手たちは体中に入れて飛び回っています。もちろん眉をひそめる人もまだ多く居て、一般的とは言えません。だからと言って権力を笠にああしろこうしろとやられると、“パワー・ハラ”だろそれはと言いたくなります。
 この問題に限らず、公務員にはあれこれと注文が多いこの頃ですが、不景気の時や政治家の人気取りに公務員バッシングがやられるのは何時ものことで、世論はそういったことに寛容です。しかし、公務員を叩いて得をするのは民間企業の経営者たちで、資本家と言ってもいいですが、優秀な人材が役所に取られずに集められるし、賃金は安く抑えられるし、労働コスト全体を抑制するメリットが期待できるから歓迎します。私達一般人はそれら企業のあおりを受けて所得を抑えられ、景気はますます冷え込み、気がつけば大企業だけが空前の利益を上げて儲けを内部に抱え込むという状況が出来上がっているのです。公務員の賃金や労働環境は、この国の働く人達の指標ともすべきもので、それを下げることは自らの首を絞めるに等しいと言わなければなりません。また、役所に優秀な人材が集まらなければ、効率的で公平な行政を期待できず、汚職や利権の巣窟となる危険さえあります。行政サービスの担い手のレベルを下げることは、私達に何のメリットもありません。内部改革や意識向上は必要ですが、“角を溜めて牛を殺す”類の愚は避けるべきです。
 公務員の労働環境や役所の仕事のチェックは、市民参加型の監視機関、例えばオンブズマン制度や全市民に輪番で担当させる(裁判員制度のような)特別委員会などを設置することで解決できるのではないでしょうか。私達は行政の在り方にあまりにも無関心すぎたとも思えます。
 
 私は監視します