バラは憧れ

 歌の題名のようですが、バラの季節がやってきました。桜は梅とともにバラ科の花としては季節の最初に彩りを添えます。そして八重桜も終わりになる頃、本家のバラが香りとともに登場するのです。神代植物園のバラ園が咲き始めたというので行ってきました。
 まだ5割ほどの開花状況ですが、何種類もの花が色と形と香りを競っていました。やはりバラという花は立派と言うしかありません。私はどちらかというとオールド・ローズの種類が好きなのですが、ヒトが手を加えて花びらを幾重にも重ねた“これぞバラ”といった種も結構なものと、改めて思ったバラ園でした。それぞれに名前がついているのですが、素人の私には皆同じように見え、色と形が違う程度しか区別できません。マニアの人達は、やれ花弁がどうの、香りがこうのといろいろ注文があるのでしょうが、とにかく立派と思うだけです。
 子供の頃、バラの庭のある家が憧れでした。菊や柿の木のある家は近所にありましたが、やはりバラとなると家もそれらしく洋館で、深窓の令嬢が長い髪を・・・、などと空想の世界でしかお目にかかることが出来ない、そんな思いとバラがセットで存在していたのです。濃い緑の葉と深紅の花との組み合わせは、なにか「お金持ち」「上流階級」「外国」といったイメージと繋がり、「金髪」「青い目」と短絡的に西洋かぶれとなる手順を踏むこととなったのです。近所にあった外人ハウスの影響も少しはあったのですが、自分の身の周りの貧乏、貧民、襤褸家の生活とは対極の生活を象徴する花がバラだったのです。まったくあの頃はひどい生活でした。なにが「三丁目の夕日」だよ、ぼっとん便所とポチまんまの生活に郷愁なんぞ感じません。どうも話が脱線しまして、痛み入ります。
 
 
 

 
 見事なものです