インターセックス

インターネットのセックスと思った人(私も最初そう思いました)はとんだ勘違いです。「内的性」とでも言うか、性染色体が男(XY)であっても外見や性器が女性、あるいは反対に女(XX)の性染色体にも関わらずペニスがついていたり、また両性具備と言われる人達の総称のようです。よくオリンピックなどで問題になるセックスチェックで表面化するあれです。私も詳しくは知らなかったのですが、帚木 蓬生著の「インターセックス」を読んで深い問題と数多くの患者がいることを知りました。
 この本では10万人に1人程度の割合でインターセックスの患者が生まれると書かれています。生物学的には発生の段階でまず女性が基本として形成され、その後ホルモンの作用で男性に分かれるというのが現在ではよく知られています。ですから、出産までにホルモンの分泌にトラブルが起これば当然起こりうる症例なのでしょうが、タブー視される問題でもあるので表面化せずに、その実態も患者数も社会的に明らかとなっていない分野のようです。著者は医学部卒の方ですから、その方面の知識や情報も確かと考えられます。小説とは言え書いてある内容は事実に即したものとなっているのでしょう。10万人に1人が多いか少ないか、それは議論の分かれるところですが、単純計算で行けば1億人で1000人の患者が居るということになります(いま“患者”と書きましたが、はたしてそういった症状が“病気=正常でない”という概念で捉えられてよいのかということも、この小説のテーマでもあるのです)。この国の2010年の出生者数が約107万人ですから、私達の周りでも毎年10人程度の割合で生まれている勘定になります。最近よく話題となる「性同一性障害」とは異なる分野と言われ、ギリシャ神話に出てくる(名前は忘れましたが)両性具備の神様や、たしかキリスト教では悪魔にそのようなものが居たと記憶の片隅にありますから、歴史的にも古い時代から事実として知られていたことなのであったようです。
 レズビアンやホモを社会的に認知すべきという運動が広まりつつありますが、このインターセックスという第3の性(小説では更に3つに分けて全部で5つの性とする話が展開されています)も、いずれ同様の流れの中に入ってくるかもしれません。マイノリティー問題としても、医療上の問題としても注目すべき課題であることは間違いないと思いました。
 
 
 花は両性具備だよね