貧困について

私達の子供の頃は貧困が身近な環境でした。さすがに飢えて死ぬ人や身売りといったことはなかったのですが、継ぎのあたった服や着たきり雀は珍しくはなく、お腹一杯に食べられることが三度の食事の到達点でした。その後高度経済成長期を経て一億総中流と言われた時代、そしてあのバブル期を迎える前あたりになると、飢えや貧困といった言葉さえも霞んでいったのです。ところがこのところ貧困が社会問題として再びクローズアップされています。
 年収2百万円以下の若年労働者が増加し続けていると言われています。生活保護受給者数は全国で200万人を超え(何故か大阪市は受給者数全国一の“名誉”に輝いています)、なかでもここ数年間の顕著な傾向として若年層の受給者が増加しているというのです。派遣切りや就職難で仕事に就きたくとも就けない人が、身近なところにも目立つようになりました。円高などによる生産拠点の海外移転と、それに伴う雇用環境の悪化が労働条件の低下に拍車をかけています。団塊世代の大量退職によっても求人需要が増加しないのです。
 「2015年問題」と言われる団塊世代の年金受給開始による社会保障費の増大は、それらを支える世代に大きな負担としてのしかかって行くこととなり、経済のバランスも崩れていくと予想されます。また新たな年金受給者となった世代は、急激な可処分所得の減少に直面する訳であり、生活のレベル低下を余儀なくされることは間違いありません。さらに、国や自治体にとっても団塊世代の大量退職は税収の大幅低下をもたらし、そうでなくとも低下傾向にある歳入事情をますます悪化させる要因となるでしょう。私達の太平楽は風前の灯なのです。
 ではどうすれば良いのか。それが分かれば苦労しません。仮に分かったところで私にはどうにも出来ません。分かっていることは、近々貧困という事態が私達の身の回りにじわじわと押し寄せ、暗―い世の中となってしみったれた生活を送ることになりそうだということです。因みに、年金受給者の大半は年収200万円以下です。つまり若い人も年寄りも貧困の中にのみ込まれるのです。マイッタナア。

貧しいから 寄りかかると 家が傾く・・・。