自転車の通行規制

 警察庁が自転車の歩道通行の規制に乗り出しています。競技用やロードスポーツ車といった、かなりの速度で走れる自転車が歩道を走ることへの危険性は、以前から指摘されていました。また、狭い歩道の電柱をよけながら疾走する朝の通勤通学時の自転車は、歩行者にとって鬱陶しく危険なものでもあるのです。自転車先進国と言われるオランダやデンマークなどでは、自転車は歩道を走行できないことが常識となっているようです。やはり歩行者との事故を防ぐために分離しているのです。ではそういった国々では自転車はどこを走るのかというと、車道の自転車レーンもしくは専用レーンを走ることになっているらしいのです。なんせ行ったことがないのでTVで観たことをそのまま信用しての話ですが、常識で考えればそんな方法を取るのが当たり前のことでしょう。
 翻ってこの国のやり方はというと、まず“幅員3メートル未満の歩道は通行禁止”とすることを挙げています。では幅員3メートルを超えるような歩道はどれくらいあるかというと、私の街にはほとんどありません。きっと東京でもそれほどの広さを持つ歩道は数えるくらいしかないでしょう。なんとなれば、自転車はほとんどの場合に車道を走ることとなり、そうでなくとも狭い道路に溢れ出す自転車の波は、交通事故激増の原因となること請け合いと思えるのです。警察庁は“自転車レーンの整備”などと言っていますが、まず環境を整えるのが先決でその後に規制といった順序であろうと思われます。この国の都市構造は集落を中心に構成されていますから、道路や歩道といった動線に対する配慮が足りません。したがって道路の幹線、支線、生活用などの区分も不明瞭であり、その上幅員の狭い道路に車がひしめいているのです。そこへ自転車レーンを作るとなれば混乱するは必定と思われるのです。大胆に車の一方通行規制や右折禁止規制などを進めない限り、とても安全な自転車通行など実現できません。
 どうも今回の“自転車通行規制”は、先の見通しを考えない警察庁のお偉いさんの“思いつき”、もしくは警視庁交通担当あたりのウケ狙いのような気がするのです。あの人たちは場当たり泥縄その場しのぎが得意ですから。

眉に唾をつけてから聞かないとね・・・。