椅子 再び

 椅子に対する思い入れはかなり強い方なのですが、やはりこちらは後発組、ヨーロッパの伝統的思い入れと比較すると付け焼刃のレベルであることを自覚せずにはいられません。なんせ椅子専門の博物館がある文化です。種類も多く、上は皇帝の椅子から下は靴磨きが使うスツールまで、形も用途も様々にして豊富な品ぞろえを持っているようです。値段もピンからキリで、数十万円もする椅子はザラで物によってはもう一ケタ上の値がつくものもあると言うから驚きです。たった一脚の椅子にそれだけの価値を求める文化は50年100年では出来ないようです。
 私の望みの一つ(私は欲が深く望みは数限りなく・・・困ったものです)に、北欧辺りのリラックスチェアーを部屋に置いて、本を読んだり居眠りをしたりするというのがあります。置く場所はともかく、まずお値段に二の足三の足を踏み続けています。私の文化水準が限界なのです。もちろん置く場所は広い窓から緑の木々が眺められる、振動や騒音、排気ガスの入って来ない静かな広い部屋が良いのですが、それも望むべくもないことなのですから、早い話が私のこのささやかな望みは実現されそうにありません。東京八重洲口のブリジストン美術館には、展示室に革製の椅子が置いてあります。大変座り心地の良い椅子で、そこに座ってかなりの時間を過ごしたことがあります。おそらく一部屋で数億円にもなろうという絵画に囲まれ、上等な椅子に身体を預ける醍醐味は、極楽に近いもの(行ったこと無いけど)です、趣味にもよりますが。

watasi mo isu ha sukidesu.