ダムにしがみつく人々

 八ツ場ダムの検討会が工事続行を有利とする結論をまとめました。国交省が主導する検討会なので、原発同様に推進係が進めている出来レースを見せられている馬鹿馬鹿しさを感じます。このことはマスコミの一部も呆れているらしく、“再開に有利な検証基準”(朝日新聞14日朝刊)と報道していました。政権交代の目玉政策が次から次へと藻屑となって消えていく様は、この国の政治構造の前近代性を象徴するようで情けないことです。
 この国の山村は急峻な谷あいにわずかな平地を求めて暮らす集落が多く、今回の集中豪雨はその弱点、危険性が顕著となった災害でした。生活手段や様式の変化に加え人口の減少が、山村での暮らしに様々な影を落としていると言われています。そんな中でダム建設という公共事業は、山村を一変させる大事件であり千載一遇の機会と考える人も多いようです。工事に伴うあらゆる利権に周辺から群がってくる有象無象は、地元を巻き込んで壮絶な混乱と争いを起します。この辺りも原発建設とそっくりです。
 八ツ場ダムが50年もの長きにわたって建設が続けられている理由の一つに、長期間にわたって公共事業の利権を独占できる地元(主に県)建設業者とその関連下請け、及びそれらと結びつく政治家という構図があると言われています。ダムの必要性云々よりも地元の利権が優先するという分かりやすい理由です。また、何千億もの資金を投入しても今回のような集中豪雨や深層崩壊という事態となれば、ダムそのものが危険にさらされる訳で、従来の水害治水の概念だけでは対応できないことが明らかになってきています。にも拘らず旧政権までのデーターと現状ありきといった観点でのみ行う“検討会”は一体何を考えているのかと思わざるを得ません。雁首を並べた関連都県の知事や国交省幹部は、自らの無知をさらけ出している恥を知るべきです。

しがみついているわけではないのよ。