トイレの話

 先週はウォシュレットが壊れて、止せばよいのに説明書も読まずに水抜き栓を外してトイレは水浸しになるは、下の階には水漏れするはでロクなことがありませんでした。おまけに儲け話は逃げていくはで、もっともその手の話とは縁がないのでどうでも良いことですが、とにかく暑いさなかに鬱陶しいことが重なりました。ウォシュレットは今週中に修理できるでしょうか。お尻を水で洗える幸せをつくづく思い知らされています。
 大杉 栄の「日本脱出記」にもフランスのトイレ事情が書かれています。あの当時、ある意味でトイレについての先進国であったフランスが、ひどい状況にあったとされています。もちろん高級ホテルなどにはビデなどの装備があったようですが、安宿のそれは「日本の辻便所よりひどい・・」ということらしく、大杉は外にある有料のトイレを使ったと書いています。この「日本脱出記」を読んで感じたことですが、この当時の文化人や有名人はよく借金をして旅行したり、贅沢な振る舞いに及んだりすることです。啄木などは借金の名人とも言われるぐらい借りまくり、その金を平気で遊興に使ったりしています。借金をする方もされる方も余裕があったのでしょう。この大杉もフランスで監獄に収監されても借りた金で贅沢(当時フランスの未決囚は自由度がかなり高かったようで、食事の出前までしてくれた)をします。そしてこの監獄が思ったよりきれいで居心地が良かったらしく、独房には水洗のトイレがついているし床はモザイク模様のものだったりしてかなり快適だった?ようです。
 大杉 栄はそんなヨーロッパから帰ってきた3カ月後に、あの甘粕憲兵隊大尉らによって虐殺されます。その時にパリの独房で見たトイレが頭をよぎったでしょうか。ウォシュレットが全盛のトイレ先進国となった今のこの国の最新式便器を、彼の人に見せてあげたい気がします。

この方のトイレは私が掃除します。