絵を観賞する

 久しぶりに美術館を覗いて来た。八重洲ブリジストン美術館抽象絵画展を見てきたのだ。美術館所蔵のコレクションも同時展示されているのでかなりの量の展示となっていた。特にコレクションの展示は、マネ、モネ、ゴーギャンピカソマチスルノアールなどなど一部屋分で数十億にもなろうかという豪勢なものなので、企画展がやや霞んでしまうきらいもあったが、印象派が中心の展示だから抽象絵画を堪能した後のデザートのつもりで見ると、さらに結構な贅沢気分を味わえる。
 お金の使い方もいろいろあるが、昔から美術品にその殆どをつぎ込む人が数多くいる。桁はずれに多くのお金をつぎ込んだ人は、そのコレクションを一般に公開したりするから私のような貧しいものもその恩恵にあずかれる。私は絵が好きだから、もしお金がいっぱいあったら(そんなことは絶対無いので、考えるだけ無駄なのだが)自分の好みで絵を収集してみたいと思う。西洋絵画は色彩豊かで宝石のような輝きを持っている。水墨画や浮世絵なども悪くはないが油彩のものほど魅かれない。今回見た抽象絵画も好きなジャンルで、印象派などの新具象絵画、古典主義派などと違って想像力をフルに刺激される。色、形に捉われない表現方法は見るものの自由な発想を喚起する。別な言い方をすれば、好き勝手に見ることが出来る。見た目何を書いてあるのか分からないようなものでも、タッチや色使いに様々な工夫が凝らされているので、それらを見ているだけでも楽しい。素人が書いたような、子供が書いたようなと形容されることの多い抽象絵画だが、なかなかどうして手間も暇もかかっている。そういったものをお金に糸目をつけず集めてみたい。
 しかし、結構な絵画を鑑賞して頭に浮かぶのは札束というのも甚だ情けないことだった。

芸術的ポーズ