基礎自治体

 日本中が被災者支援、避難者支援でシエンシエンと賑やかです。こんな時「支援なんか知らないもんね」などと言うものなら村八分、非国民呼ばわりされそうな雰囲気ですが、地震原発事故からすでに3カ月、相変わらず日本中が3.11に振り回されているようです。
 何の見識や先見性を持たない政治家たちが、自己顕示欲のために空騒ぎするのはよくあることですから驚きません。また当事者たちが「どうにかしてくれ」と言うこともひとまず理解できます。しかし現地自治体に携わる人たちまで「どうにかしろ、どうにかしてくれ」ではいささか困るのではないかと思っています。全ての自治体がそうだという訳ではないでしょうが、被災避難地域の自治体首長、議会は、こんな時こそ基礎自治体としての機能と責務を自覚して、まず自分たちのやるべきこと、出来ることを効率的速やかに進めるべきでしょう。国や県の意向や支援ばかりを当てにするのは、自らの存在意義を否定する愚行と申せましょう。仮設住宅の未入居問題や校庭の汚染土壌撤去問題などは、この国の自治組織がまったく機能していないことを浮き彫りにしました。更にそのことにさえ気づかない自治体が未だ数多くあることも改めて明らかにしました。言うまでもなく地方自治日本国憲法の根幹を為す制度であり、基礎自治体たる市町村は住民の自治による住民の砦です。災害時も含め危急の時には最前線でこれに対峙する組織なのです。歴代自民党政権はこういった自治意識の育成を放棄したばかりか、「由らしむべし 知らしむべからず」という時代錯誤の政策を取り続け、また住民もそれに甘んじてきました。現在の混乱の原因はそういった従来の国の在り方にこそ多くの責任があるし、それを受け入れてきた国民もまた共同責任者なのです。
 今この国が為すべきことは、全国に影響を及ぼす原発事故の早期収束と今後予想される巨大災害への備えです。そういった視点を抜きにした「復興計画」など泥縄の繰り返しであり、相も変わらず目先の対応に終始する愚策以外の何物でもありません。「復興」のみに捉われず原発も含め、将来的な展望の中で再建を模索すべきです。基礎自治体はそれらを基に各地域の実情を踏まえた独自の施策構築をすることが求められます。肝心な時に役に立たない、では困るのです。

うーん 青い空が早く戻らないか・・・。