ヒトの完成度

 よく言われることですが、人類は地球の歴史の中でほんの僅かでしかなく、地球のこれまでの歴史を一日で表現するなら、人類が出てきた時間は真夜中12時のちょっと手前あたりのようです。類人猿までさかのぼり長く見積もって800万年ほど、直接の先祖と言われるホモサピエンスに限定すれば20万年ほどです。46億年が地球の年齢とするなら桁違いの短さです。
 ヒトは未だに殺し合いをしたり騙したり裏切ったり嘘をついたり、ありとあらゆる悪事と名がつく所業に身を委ねています。共食いをする動物も稀にはいますが、争いの中でも一定のルールを守り出来るだけ相手を傷つけない、必要な時に必要な量の食料をとること、むやみに怒ったり恐れたりしない、他の種との共存も決して拒まないなど、数え上げればきりがないほど、ヒト以外の動物の理性的な振る舞いを指摘できます。ヒトが進化上の優位にあるとはとても思えません。
 これから100万年、1000万年を経過した後、もし人類が生存しているとするなら、その時は高い理性と教養に裏打ちされたヒトが出来上がっているかもしれません。しかし今は開発途上の実験段階とも考えられ、現人類は欠陥だらけの未完成品のようです。地球上では未完成のまま姿を消した生物も数多く、絶滅した恐竜や未だその種を繁栄させているゴキブリなどと比べて、ひよっこほどの時間しか生きていない人類は、完成品となるまで生き続けることが出来るのか、あるいは間もなく絶滅する運命なのか、いまのところ何とも言えないでしょう。ただこれまでの有り様を見ると、そんな遠くない時期に人類の命運は尽きるのではないかと思っています。どちらにしても私がその場に立ち会うことはないのでと気楽に構えている所が未完成品の所以です。

完成品の振る舞い・・!。