密やかな愉しみ

なんとなく淫靡なタイトルなのであらぬ方向を期待されても困りますが、にゃん子の“毛とり”のことです。
体中に体毛を持つ動物は季節ごとに毛の大部分を入れ替えます。ヒトの抜け毛は深刻な問題であったり、ビジネスの対象であったりしますから別の範疇に属しますが、にゃん子は自分で毛づくろいをすることでこの抜け毛に対応します。しかし、ヒトの家で暮らすにゃん子はものぐさですから、この作業を適当にしかやらないのです。そこで私の出番となるのですが、“毛とり”グッズのようなものがいくつも売られていますから、それを使って、まあことに挑む訳です。
初めのうちは“なにするの!”といった態度をとりますが、だんだん慣れてくると気持ち良いらしく喉を鳴らしたり噛んだり?します(この辺りの流れは、どこかで似たようなことを聞いた気もするのですが、なんせ経験のないものですからなんとも言えません)。そしてこの時のにゃん子の仕草を見るのが「密やかな愉しみ」なのです。いい歳をした親父がネコの体をなでてへらへらしている図は、他人からはかなりおかしな眼で見られても仕方ないとも言えるので、あまり声高に世間様に吹聴するようなことではないと承知はしています。ですから「密やか」に愉しんでいる次第です。
私の場合、これをあまり密やかに行うのはかえって他人様の誤解を招くことにもなりかねないので、歌などを歌いながら明るく振る舞うことでバランスをとっています。自作自演の“毛とり歌”というテーマソングに乗せて“毛とり“をする愉しみがいつまで続くのか、私は深い思いの中で考えているのです。

開けっ広げな楽しみ ガスに煙る袈裟丸山の新緑とつつじ 2011.5.26