人殺しを喝采する人々

 ビンラディンさん(一般には容疑者というらしいが、私は利害関係のない第三者なので)がアメリカの特殊部隊の襲撃によって殺害されたニュースが世界中を駆け巡りました。ワシントンではホワイトハウス前で喝采する人達が多く集まったそうです。       
 アルカイダという反米組織のリーダーだったオサマ・ビンラディンが、直接に指揮したといわれる爆弾テロやNYの9・11は多くの民間人が犠牲になりました。しかしアメリカのいう“テロ”とアメリカ軍の行った“作戦”との違いは、戦い方の違い以外に相違点を見つけることは難しいように思います。民間人を犠牲にしたという点ではどちらも同じですし、他所の国で行う作戦(テロ)という点でも区別がつきません。どちらも“戦士”が直接の実行者です。国家的なレベルで実行されているか、それよりも小さな組織として実行されているかの違いの外は、ともに正義を旗印にしているのでそれぞれに言い分を持っています。標的を殺害した時に集まって喝采をあげるところなどは、両者はそっくりと言わなければなりません。
 報道によるとアメリカの特殊部隊は、パキスタン政府への事前通知も了解もなく、ビンラディンさんが潜伏していた“パキスタン国内”で軍事行動を実施したのです。さらに殺害は一方的に行われたらしく、抵抗したといった報道もありません。また家族(妻と子供)も同時に殺害されています。これは理由がどうあれアメリカの言う“テロ”とどう違うのか理解に苦しみます。アメリカのオバマ大統領は直ちに声明を発表し、“民主主義の勝利”と自画自賛しました。アメリカ国民全てがこういった殺害にもろ手を挙げて賛成するとは考えませんが、少なからぬ人達が賛意を表していることにはがっかりすると同時に、やはりアメリカは戦時国家なのだと改めて思い知らされました。
 そして今回も日本国の政府、マスコミはこういったアメリカ主導の報道に追随する立場に終始しようとしています。おりしも「ウィキリークス」のすっぱ抜いた米軍グァム移転費用水増し問題が浮上していますが、これもアメリカ追随政府の足下を見られた挙句の果て、としか言いようのない始末です。「正義」の味方もセコイことをします。

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