「デカンショ」

 デカンショと聞いてすぐピンとくる人はかなり年代物の方で、今の若い人達には“何のことやらさっぱり”というのが普通の反応であろうと思います。言うまでもなくこの「デカンショ」はデカルト、カント、ショーペンハウエルという3人の思想家の頭文字を並べたものです。“デカンショデカンショで半年暮らす・・・”と歌われたデカンショ節で有名となりました。もうはるか昔のことです。私達の年代(団塊エイジ)にしても「デカンショ」はポピュラーとは言えず、さらに一つもしくは二つの世代をさかのぼる人達がやっと「デカンショ」に馴染みが出てくるくらいのものであろうかと言えるでしょう。
 そのデカンショデカルトが書いたものの中に、「情念論」というのが有ります。うちの本棚に古びた筑摩書房版のデカルトがあり、もちろん私は読んだ訳ではないのですが、“何だこれは”と手に取ってみると、212項目にわたって感情や心の様々な動きについて考察しているのです。思想家ですから“考えるのは仕事”と言えばその通りなのですが、“よくまあ細々(こまごま)・・”と思わざるを得ない内容なのです。3部構成で1部には「情念を概説してたまたま人性全般に及ぶ」、2部「情念の数と順位、ならびに基本的六情念の説明」、最後の3部は「特殊情念について」というものです。パラパラとページをめくりながら、デカルトさんは真面目に自分と向き合い一つ一つにそれなりの回答を見つける、そういった作業を黙々と行ったヒトであるとの感想を抱きました。繰り返すようですがなんせキチッと読んでないし表題だけの判断ですが、おそらく有り余る時間と余裕が為せる業と羨むと同時に、ネットやらメディアに左右されない自分だけの世界を構築できた時代の息吹?を垣間見た気がします。なんて聞いたふうなことはともかく、短いものですから遅ればせながら読んでみます。

私はデカンショなど読まなくともいつも寝ているし・・・。