「デカンショ」その2

 昨日から「情念論」を読んでいます。やっと一部が終わりました、というよりは目を通したということです。正直言ってすらすら進むという訳にはいかないようです。別に難しい記述や文言が出てくるのではないのですが、SFを読むような訳にはいきません。一部は主に身体のメカニズムが中心に考察されているのですが、当然時代が17世紀ですから今の知識とは異なる部分があります。それでも、あの時代にこれだけの知識が解明されていた(内臓器や脳の仕組み、働きなどがかなり正確に記述されています)ことに驚きました。巻末の年表によればこの「情念論」が出版されたのが1649年となっています。言うまでも無くこの本は医学書ではなく思想書です。しかしここに書かれている医学的知識は、日本で「解体新書」が出版される幕末のレベルに相当するのではないのかと思われるほどなのです。思想家がそういった知識をもとに「情念」、ヒトの感情や意識を考察することが出来る学問的土壌が当時のオランダ(デカルトはフランスの生まれですが、32歳でオランダに移住、その後長くオランダに暮らした)にはあったのです。具体的事実を踏まえての考察という、現代に通じる思考法が既に取り入れられていたようです。余談ですが、そのデカルトをしてもガリレオの宗教裁判には抗しがたく、自らの「宇宙論」の出版を取りやめたと言いますから宗教というのはオトロシイものです。
 デカルトと言えば形而上学の代表といった印象があったのですが、形而上学も馬鹿にしたものではないようです。これから第2部にかかります。

なあに、読みつけないもの読んでるから 飽きたんでしょ。