記憶

 ヒトの記憶は不確かなもので、去年のことのように記憶しているものも、確かめてみると2・3年も前だったなんて思い違いがよく有るのです。
いつの頃からか手帳にメモを書きとめておく習慣がついて、これが大変役に立っています。こういったアナログ的記録法はその時々の、わずかですが、気分の残像みたいなものが、書いた字を通して伝わってきます。肉筆の持っている力でしょうか、ワープロやタイプには無い記憶のフラッシュバックといったものを感じます。
 ネコは一次記憶だけで二次記憶はほとんど無いと言われます。しかしうちのみいさんは完全に二次記憶を持っていると思われる節があり、彼女の前で物を隠すと、必ずあとから探し出します。隠す場所をみて記憶しているのです。手の構造から字はかけないので、手帳に記録をとどめることはしませんが、とにかくいろんなことを良く覚えています。お休みのあいさつもします。寝る前に「みこたん おやすみ」と言うと、かならず「みゃ みゃあ」と返事をします。これは朝にはしないことなのです。そして、これらの行動はヒトを見て行うのです。つまり誰にでもする訳でなく、特定の人物にだけ行うのです。また、食事の催促も同様で、特定の人物にまさしく猫なで声を出し催促します。ヒトと一緒に暮らすうちに、ネコは記憶回路を進化してきたのかもしれません。
 ヒトの記憶もネコの記憶も、何か特定な出来事と結びついて残ることは同じなようで、私の場合は手帳の字がインデックスになることが多いのですが、ネコもその内に爪痕か何かで記録するようになり、ヒトと同じように数年前のことまで思い出すかも知れません。しかしそれは必ずしも良いことばかりではないようにも思えます。現在の記憶能力で十分幸せそうなみいさんを見ていると、何でもかんでも思い出せば良い訳ではない、そんなことも思ったりします。

私 アンニュイなのよ。    PS 明日は臨時休業です。