集中力

 私は子供のころから散漫で、飽きっぽく、ひとつのことを長続きさせるのが苦手な性格です。おまけに一を聞いて十を知った気になるという特技までありましたから、早とちりの諦めやすい、大変充実した子供時代を送らせて頂いたのでした。中学の時、大変集中力のある奴がいて、私の周りはみんな似たり寄ったりのボンクラばかりでしたが、そいつは何をやってもトップクラスで、おまけに皆に人気が有って、まったく困った奴でした。高校が一緒だったこともあり、卑屈(私が)になりながらもよく遊んでいました。芸大を3浪してW大の理工に入りましたが、まったく集中力のある奴にはかなわないとその時思ったものです。普通3浪もすれば適当になるものですが、ああいった奴は集中力が途切れないようです。その後そいつがどうなったかは知りませんが、きっと集中中毒にでもなっているでしょう。
 翻って私はそうでなくとも飽きっぽく散漫な性格が、歳を降るに従いさらにひどくなるようで、これは困ったものと途方に暮れています。かといって集中力を取り戻す治療薬も方法も無いようですし、もちろんどこかで売っているものでもなし、例によって諦めて愚だ愚だ行くしかないと自分に言い聞かせています。しかしどこかの政党も国民も同じように散漫で飽きっぽいようですから、このいい加減な飽きっぽさはこの国の風土病かも知れません。国民全員が手を斜めに挙げるような集中力も困りものですが、あまり無いのも困るものです。
 思い出しました、私が絵を描くようになったのはそいつの影響でした。余計なことを覚えさせてくれたものです。

歳をとると 繰り言が多くなるわね。