枯れ木も山の賑わい

 昔の人は上手いことを言ったものです。山の中には豊かな葉をつけた木ばかりでなく、すっかり葉を落とした木や枯れ木も混じっています。そして全体として調和の取れた風景となっています。ちょうど今は紅葉の盛りですが、紅葉も葉を近くでみれば、鮮やかな赤や黄色の外に枯れた葉も多く混じっています。でも枯れ葉も全体としてみれば紅葉の一部としてその役割を果たしています。まさに枯れ葉も枯れ木も山の賑わいなのです。
 私がこの言葉を聞いたのは20代初めの時で、たしか何かの集会の時に普段何かにつけ無関心のノンポリの人が、意見を問われて「いや、僕は枯れ木も山の賑わいぐらいのつもりで・・・」と言ったのが最初だったような記憶があります。私はとても感心して、その人の言葉のセンスを見なおしたのです。ただその人はそれだけの話だったのですが、「枯れ木も山の賑わい」というフレーズはずーと記憶に残りました。
 私も枯れ木に近くなり、山の賑わいとしてその役割を果たすことが出来るか、そんなことを考える今日この頃です、なんてバカなことは一切考えませんが、「助平が枯れると良い男になる」と言った年寄りの言葉を信じて、もっと助平になっていれば良かったかと後悔をする日ではあります。

なにをまた 馬鹿なこと言っているの。